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シコウノキロク

思考・志向・試行・嗜好の記録

読みやすい文章の書き方[日本語の作文技術]

  「日本語の作文技術」裏表紙より

ちゃんとした日本語を書こうと思ったら、まず、勉強に本多勝一氏の「日本語の作文技術」を読め。これが私の持論である。……全巻を通読しなくてもいい。第一章から第四章まで読めば、それだけで確実に、文章はよくなる。この本はそういうスゴイ本なのだ。(多田道太郎氏「解説」)

   文章を見直す場合、他人視点で文章をみることができるため時間を置くと良いと言われていますよね。ただ、一晩寝かせて推敲しても「この文章、なんだか読みづらいな…」と思う方はいるのではないでしょうか、そうです、私のことです。

 国語力はセンスなんていう人もいますけれども、本書を読めば文章力に関しては技術として習得する部分があることを確信できるはずです。センスがないとあきらめていた人は文章を書く技術を理解していないだけという可能性が高いです。技術を身に着けて読みやすい文章を操る人になりましょう。

 今回紹介する「日本語の作文技術」は、読みやすい文章か否かを握る技術について書かれています。そして、その技術は単なるトピックの羅列にとどまらず、なぜそのような結論に至るのかを丁寧に書いてくれています。どれほど丁寧かは後述します。本書に書かれているような技術を学校で教えるといいと思うのですが、私が聞いていなかっただけなでしょうかね。

 

〇目次

 

 おすすめの章

 原則

 解説スタイル

 さいごに

 

〇おすすめの章

 

 ・第二章 修飾する側とされる側

 ◎第三章 修飾の順序

 ◎第四章 句読点のうちかた

 ・第六章 助詞の使い方

 

 いずれもわかりやすい文章を書く上で基礎的な部分だと感じた章になります。残りはやや発展的だと感じたので、気になる方は適宜読むといいでしょう*1。最小限のことだけで良いという方・読むか決めかねている方は◎をつけている第三・四章だけでも読んでみてください。この二つの章は本書の中でも特に秀逸です。

 ほんと立読みでもいいので第三・四章!そこだけでもいいから読んでください!という感じなのですが、より興味を持ってもらうために本書から一部抜粋しながら少し掘り下げて紹介していきます。

 

*1記事の本筋と違うのですが「第九章 2 文豪たちの場合」が最も好きです。有名な作品の冒頭をいくつか引用しており、快適なリズム・心に浸透してくるような流麗さを文章から感じます。日本語っていいな。

 

〇原則

 

・第三章 修飾の順序

  第一原則 節を先に、句をあとに。

  第二原則 長い修飾語ほど先に、短いほどあとに。

  第三原則 大状況・重要内容ほど先に。

  第四原則 親和度(なじみ)の強弱による配置転換。

 

・第四章 句読点のうちかた

  第一原則 長い修飾語が二つ以上あるとき、その境界にテンをうつ。

  第二原則 原則的語順が逆順の場合にテンをうつ。

       ※ここでいうテンは、読点「、」のことです。

 

 秀逸である第三章と第四章から抜粋しています。短くまとめられているこれらの原則を踏まえるだけでも文章が読みやすくなります。

 これだけ見るとよくある文章を書くトピックを集めた本と似ています。しかし、この原則を導き出すまでの解説が素晴らしいのです(後述)。導出に納得感があるため、私のような国語センスのない人間にも肌で感じながら原則を習得できるようになっています。また、私がずっと疑問に思っていた「テンは意味の切れ目に打つ」。これについて本書の第四章を読んで氷解しました。

 

〇解説スタイル

 

 徹底的に可能性を洗い出して一つ一つ検証していくといったものです。物事は順序を追って理解したいという方はしっくりくるはずです。

 

 例えば、「第三章 第二原則 長い修飾語ほど先に、短いほどあとに」を解説する際に例文が6つ示されています*2。

 

 Aが私が震えるほど大嫌いなBを私の親友のCに紹介した。

 Aが私の親友のCに私が震えるほど大嫌いなBを紹介した。

 私が震えるほど大嫌いなBをAが私の親友のCに紹介した。

 私が震えるほど大嫌いなBを私の親友のCにAが紹介した。

 私の親友のCにAが私が震えるほど大嫌いなBを紹介した。

 私の親友のCに私が震えるほど大嫌いなBをAが紹介した。

 

 Aが(主格)・Bを(対格)・Cに(方向格)は、それぞれ同列であるため本来は順番を並び替えても読みやすさに違いがありません。しかし、長さの違う修飾語をつけると読みやすさがまったく異なります。この中で最も読みやすい文章は、4番目ですよね。

 

 上記の説明はかなり端折っています。それでも、すべての文章を書いて比較すると単にトピックを教わるよりも納得感があるのではないでしょうか。他の原則であっても同じように例文を示しながら丁寧に検証していきます。一見無駄に思える方法によって文章の読みやすさの違いがよくわかり、各原則を納得しながら習得していけます。

 

*2例文のチョイスに深い意味はないのでしょうが、勘ぐってしまいます。状況を想像して思わずわらってしまいました。震えるほど大嫌いて!

 

〇さいごに

 

 よくあるトピックを集めたような本に比べると読み応えがあり回りくどく感じるかもしれません。しかし、わかりやすい文章を書きたい方にはぜひ手に取っていただきたい本です。特に、これまで国語センスによる技術習得ができなかった方におすすめです。

 最後までお読みいただきありがとうございました。

【新版】日本語の作文技術 (朝日文庫)

【新版】日本語の作文技術 (朝日文庫)

 

 

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