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シコウノキロク

思考・志向・試行・嗜好の記録

水素水を考えるために知ってほしい3つの化学知識


国民生活センターが公表した調査報告書で話題の水素水。

化学をかじった者からすれば、以下の話はある程度予想ができます。

ペットボトル入りの水素水2製品では溶存水素(水素ガス)が全く検出されず、他の製品でも、パッケージなどに記載された表示よりも水素ガス濃度が低く検出されたものがあった。

http://www.j-cast.com/2017/02/02289564.html?p=all

そのような結果になる理由が知りたい方は、この記事を読むとわかるようになるかもしれません。

ちなみに、今回の記事は水素水の濃度に関するもので、効果・効能には一切触れません。

早速、知ってほしい3つを簡単に挙げておきます。詳細は後述しますので、以下のように簡単にイメージしておいてください。

ppm:濃度の単位

溶解度:水へどの程度溶けるか

透過度:容器に対するガスの通り抜けやすさ

ppm

今回の報告書に出てきたメーカーの公表値が0.3ppm〜1.6ppmであるため、ppmの大まかな濃度のイメージを押さえておきましょう。

ppmというのは100万分の1「parts per million」の頭文字をとったものになり、1ppmですと1Lにおおよそ1mgの水素が溶けていることになります。・・・イメージつきにくいですよね。1ppmを想像しやすい例えがありましたので引用します。

大体の目安として、1ppmは『大型の洗濯機に目薬一滴』を溶かしたぐらい

http://www.tcoop.or.jp/anzen/documents/2009046_p42.indd.pdf

溶解度

1ppmってすごく少ないと感じた方が多いのではないでしょうか。これは、水素がほぼ水に溶けないからなのです。そして、物質(今回はガス)が液体にどれくらい溶けやすいかを示すのが溶解度となります。

この溶解度と反比例関係にあるヘンリー定数という値があります。この値は各ガス固有のものですので、比較することで溶けやすさの尺度を見積もることができます。例として、二酸化炭素(CO2ガス)が水に溶けている、大人から子どもまでみんな大好き炭酸飲料と比較してみましょう。0℃におけるヘンリー定数は、水素:5.79 vs 二酸化炭素:0.0728ですので、その差約80倍です*1。どれくらい溶けにくいかイメージできたでしょうか。洗濯機に比べるとインパクトが小さいですかね。

また、溶解度は温度の影響を受けます。炭酸飲料を冷やさずに保存すると抜けやすいので、直感的に理解できるのではないでしょうか。先ほどのヘンリー定数は0℃におけるもので、この条件下で水素が水に溶解する最大量が大体1.6ppmです。今回の報告書にあった検証の一つである20℃の条件ですと、ヘンリー定数は6.83となります。溶解度はヘンリー定数に反比例するのでしたね。ということは、0℃で保存した場合に比べて、20℃で保存すると水素が水に溶解する最大量は20%程度減少し、ガスに戻ってしまいます。保管温度には気をつけましょう。

気圧は大気圧としています。

ヘンリー定数の出典:http://ebw.eng-book.com/pdfs/69ef576f2dbf36449ca17c83fd95bbe7.pdf

*1 二酸化炭素は水中で炭酸イオンを形成するため、さらに溶けます。

透過度

意外に思うかもしれませんが、プラスチックというのは水素や酸素などの気体が通り抜けてしまいます。この通り抜けやすさを透過度と言います。 プラスチックはとてもスカスカな構造をしていてガス分子は容易に通り抜けることができます。イベントなどでもらう風船がありますよね。最初は浮いていたのに、数日経つと浮かなくなってしまう。これは風船内部に充填した軽い気体(よく耳にするのはヘリウム)が風船外部に抜けていくためです。ペットボトルと比較すると気体の通りやすさが異なるのですが、イメージとしては同じです。

他の例としては、プラスチックの袋に入ったおかきやスナック菓子があります。脱酸素剤が入っているものもありますよね。袋の外から酸素が入ってきて内容物が劣化するのを防ぐためです。これは、プラスチックの袋は酸素を通すということを見越しているわけです。さらに、透過度というのはガスの分子が小さいほど高くなる。つまり、通り抜けやすくなります。水素は酸素よりもかなり小さいので、ペットボトルを保存容器としている場合は…

お菓子の話に戻します。ポテトチップスもスナック菓子ですが、袋に秘密があるため脱酸素剤が入っていません。機会があれば袋の内側を覗いてみてください。アルミを袋に用いているため、金属のような光沢があるはずです。そして、金属はプラスチックのスカスカの状態とは異なり、とても密な構造を持っています。この構造であるため、酸素を含めたガスをほぼ通しません。ですので、どうしても私が水素水を保存する必要があるのであればアルミを用いたものを使います。

さいごに

透過度と溶解度をなんとなく理解していれば、冒頭の引用部分が理解できるのではないでしょうか。

ペットボトル入りの水素水2製品では溶存水素(水素ガス)が全く検出されず、他の製品でも、パッケージなどに記載された表示よりも水素ガス濃度が低く検出されたものがあった。

今回お伝えしたのは、水素水の濃度を考えるために知ってほしい化学知識です。私が思うところを書き連ねたものですので、間違い等ございましたらご指摘いただければ幸いです。 なお、保存条件・水・容器等に特殊な処理を施している場合はこの記事の内容が当てはまらない可能性がありますので、ご注意ください。

最後までお読み頂きありがとうございました。質問・不明点等ありましたら、ご連絡ください。

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