シコウノキロク

アラサー男が自由を手に入れるまでの思考と試行の記録。Python・お金・考察・学んだことが中心

iPhone部品で見る日本の製造業のつらさ

新型iPhone、発売されましたね!売れ行きはどうなのでしょうか、気になります。
というのも、iPhoneの売り行きによって関連部品メーカーの命運。とまでは言い過ぎかもしれませんが、業績がかなり左右されるからです。
やっぱり日本好きだしさ、iPhoneの部品を作っている日本の企業に頑張って欲しいと思うわけなのさ!

iPhoneが売れると日本の製造業がどれくらい儲かるのか。
少し前にtwitterに投稿された画像が話題になりました。確かピケティ特番の一場面だったはず。でも、大元のネタはWSJ。

日本やるやん!って感じのポジティブな意見が多かったですね。僕がリアルタイムで見ていた時に感じた思いとは逆で
...果たして日本やるやん!って納得してしまっていいのでしょうか。

iPhone部品のシェア

まず画像に少しツッコミ。twitter上でも散々言われていたことですが、

  • 日本企業に入るのは製造費約179ドルの34%、61ドル。販売代金499-179=220ドルがAppleの取り分。
  • iPhone3Gの発売日は2008年。約10年前。

10年前とえいば、精密部品は日本製という名残がまだ残っていた時代です。今やアジア諸国、特に台湾辺りが台頭してきていますよね。
「パソコン部品はどうせ日本製だろ」→「パソコン部品はどうせ台湾製だろ」が時代を語る際、よく引き合いに出される会話。
で、直近のデータにおけるiPhone部品のシェアと解説を引用すると。

https://www.nikkei.com/content/pic/20170622/96958A9F889DE3E5E1E5E2E7EAE2E2E4E2E4E0E2E3E5E2E2E2E2E2E2-DSXZZO1737117006062017000000-PB1-26.jpg

 日本企業がサプライヤーの最大勢力だった時期について、明確なデータはない。ただし10年以上前のiPodシリーズは、そうだったと推測される。東芝や日立グローバルストレージテクノロジーズ[現在の米ウエスタンデジタル]のハードディスク装置、ソニーのリチウムポリマー電池、オプトレックス(現在の京セラディスプレイ)の液晶パネルなどが採用されていた。こうした大型部品の採用実績が“神話”を生み出したのだろう。
 しかし、それも今は昔。台湾企業がトップの座を占めている。

引用元:実は幻想、iPhoneの「日本製部品頼み」 :日本経済新聞

台湾・アメリカに負けています。うーん、残念だけど3位だし僅差だからね。
それに、上記の引用したグラフはあくまで企業数。高額なハイエンド(高い技術力が必要な)部品を日本が押さえていれば、金額シェアは高いかもしれないという可能性が残っていますよね。検証していきましょう。

各国の金額ベースのデータを引っ張ってこれたらよかったのですが、見つけられませんでした。ということで、部品自体の金額シェアの推移を見ていきます。

iPhone部品の金額シェア

iPhoneの部品コストの割合グラフを引用するので、iPhone3GとiPhone8を比較してほしい。
上記で引用していた日本企業が最大勢力だった時期に押さえていた、ディスプレイ(液晶パネル)、NAND(ハードディスク装置)、バッテリー(リチウムポリマー電池)の金額シェアはどうでしょうか。

https://japan.cnet.com/storage/2017/09/27/e82e013fb939675ce6cd982cd3ecaae6/iphone-8-bom.png

引用元:「iPhone 8 Plus」の部品コスト、過去最高の288ドルと試算 - CNET Japan

ディスプレイ伸びてる、いいね!
しかし、NAND(ハードディスク装置)とバッテリー(リチウムポリマー電池)は金額シェアが下がってる...
そもそもハードディスクの主流は日本からWD(ウェスタンデジタル)に流れていっていたし、残っていた東芝のNAND事業はAppleが出資する団体に身売りされてしまったし...NAND事業を売っぱらって東芝の屋号を残すことに何の意味があるのかと。
プラムの入っていないプラムプリン感がすごい。

東芝の半導体事業売却、2兆円でBainと合意――コンソーシアムにはAppleも参加、WDは反発 | TechCrunch Japan

すみません、話が脱線してしまいました。
NANDとバッテリーは金額シェアが下がってるけども、ディスプレイは上がってるね!ディスプレイを押さえていれば大丈夫!...だと思うじゃん

Apple製品のディスプレイ

現在のApple製品は全てRetinaディスプレイが採用されています。OLED(有機ELディスプレイ)である最新機種を除いて。
RetinaディスプレイはiPhone4から登場し、MacBookも徐々に置き換わっていきました。ということは、今後のApple製品は全てOLEDに置き換わっていくのではないでしょうか。
今のOLEDの欠点としては価格が高い・量産体制が整っていない点があると言われていますが、一旦量産される見通しが立てば価格は次第に下がっていきます。そして価格が下がれば世間に普及していき、さらに量産される。という、スパイラルが発生するわけです。
ディスプレイではありませんが、液晶テレビのデータを引用します。大体5-6年で半額程度になっていますね。

f:id:shikouno:20171008153001j:plain

引用元:10年間、進まなかった液晶テレビの大画面化 40型4K登場でついにシフト始まる? - BCN RETAIL

iPhoneに採用されたことで、液晶ディスプレイと同じスパイラルに入る可能性が高く、OLEDの高価格・品薄という欠点は徐々に解消されていきます。
現在のRetinaディスプレイでシェアを握っていても、次世代機に標準搭載されるOLEDでシェアを維持できなければ、将来は先細りする結末が待ち構えているわけ。

Appleのディスプレイを受注している日本企業はJDI(ジャパンディスプレイ)です。売り上げの5割をAppleが占めています。命張ってるなー
JDIはソニー・東芝・日立の中小型液晶ディスプレイ事業を統合した会社。シャープは買収されてしまったので、日本におけるディスプレイ技術の代表選手。
しかし、OLEDにおいては少し、いやかなり出遅れているようです。再来年の生産開始を目指して、出資を募っている段階。

関連会社JOLED(東京)を通じて2019年にも能美工場(石川県能美市)で生産する。設備投資に必要な1000億円は国内企業を中心に出資を募る方針で、キヤノンやソニーなど数十社に打診を始めた。

JDI、日本初の有機EL量産へ=19年に能美工場で:時事ドットコム

一方で韓国企業は既に受注していたり、巨額の投資を行ったりしています。Appleがどの企業に力点を置いているのかがわかりますね。

Apple(アップル)が7,000万ユニットの有機EL(OLED)ディスプレイパネルをSamsung(サムスン)に発注したことを報じています。

Apple、Samsungに有機ELディスプレイを大量発注。やはりiPhone 8に搭載か? | ギズモード・ジャパン

AppleがLG Displayに17億5,000万〜26億2,000万ドル(約1,970億〜2,960億円)を投資し、サプライヤーの多様性を図ろうとしていることが分かりました。

Apple、LGに最大3,000億円投資で独占的なOLED生産ライン建設か - iPhone Mania

JDIのOLEDが採用される可能性は低そうです。

日本の製造業の未来

製造業で最も儲かるのは新技術を最初期に生産販売できた企業です。後追い企業は性能で圧倒的優位に立てない場合、価格を下げて勝負するしかありません。価格を下げても採用されなかったら、研究開発費がペイされません。つらいわー
まぁiPhone以外で回収されることはあるかもしれませんが、Apple様の受注量は桁違いですからね。回収率も桁違いですよ。以前勤めていた企業でも、Apple様とのやりとりが新規で入ると「マジカ!!!!ファーwww」でしたからね。
その分、他社も必死になってApple様との契約を取りに行くわけ。競争が激しいと価格下てね♡圧力も通りやすい。製造業つらいわー

ここまで読んでから冒頭のtwitterの画像を改めて見てください。どう感じますか。

研究開発->量産化が一歩出遅れただけで、売り上げの半分が吹っ飛ぶ可能性があるのですよ。そう考えると、リターン少なすぎます
しかもこれ、利益じゃないからな!研究開発費・設備投資費・製造費など諸々が差し引かれるからな!つらっ...

つらい現状を打破したい日本の製造業・部品メーカーはどうしていくべきなのか。示唆を与えてくれるソフトバンクの孫正義氏の言葉を引用しておきます。

アメリカは知恵を働かせてお金をごっそり残し、製造業中心の国は働けども働けども楽にならずお金が残らない。日本は今、製造業に徹している国と、知恵に徹している国、どちらへ行くべきなのか迷っているのです。

果たしてどちらへ行くべきなのでしょうかね。
それを決定するある発表に注目していました。次回はその辺りを記事にしていきます。

最後までお読みいただきありがとうございました。それじゃ!